蒼氓 (新潮文庫)

蒼氓 (新潮文庫)

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新潮社
価格: ¥460

蒼氓 (新潮文庫)のレビュー

エネルギーをもらった。
冒頭の、雨の神戸の描写に、暗い小説かと思いながら読み始めました。
1930年の、ブラジルへ渡る移民たちを描いた三部作です。
田畑や家財一切合財を手放して出てきたのに、病気で渡航を許されない家族、思う人と
別れて船に乗る娘、煙管を握りしめて、周りに心を開かない婆さん……酒を飲んで景気
よく踊ったり歌ったりしている男たちでさえ、どこか暗く見えてくる。
それなのに、一気に読みきってしまいました。日が経つにつれ、幸も不幸もひっくるめ
て現実を受け入れていく登場人物たちの姿の、そのエネルギッシュなこと。
そして、第三部のラストの、ブラジルの日差しをあびる移民たちの姿。
階級社会、人間のもつずるい一面など、考えさせられる部分も多くありましたが、なに
よりも、生きていくエネルギーをもらえる、そんな小説でした。
遥かなるブラジル目指して
『蒼氓』ですが、そうぼう、って意味の分かる現代人はいるのでしょうか?私は分からなかったので辞書で調べました。「もろもろの民、すべての人民」という意味だそうです。
内容にぴったりのタイトルです。

表題作を含め連作三編が収録されています。物語の舞台となるのは1930年のブラジル移民船ら・ぷらた丸です。作者の石川達三自身、「助監督」として実際にら・ぷらた丸に乗り組んでいたそうです。作中にも「助監督」なる人物が登場し、色々活躍(?)します。そこに注目して読むのも一つの楽しみ方かもしれません。しかし主人公はあくまでも、移民船に乗る人々、つまり蒼氓です。

戦前の作品ということになりますが、現代人が読んで読み難いということはありません。文中、これといって難解な語も出てきません。むしろタイトルが一番難しいです。
話の内容は、移民の人々のリアルな姿。故郷を捨て不安を抱きながらも力強く生き抜こうとする姿勢は崩さぬ、不器用ではあるが純朴な蒼氓の生き様です。

第一回芥川賞受賞作という肩書きと、難しいタイトルと、かなり昔の作品であるということで、手を出しにくいと思われがちかもしれませんが、そんなことはありません。普通に読めて普通に面白い小説です。

ブラジル移民が見た「未来」
 JRå...ƒç"ºé§...から鯉川筋に沿って神戸の市è¡-地ã‚'åŒ-に歩く。登り坂が突きå½"たるå...­ç"²å±±ã®ãµã‚‚とに「æ-§ç¥žæˆ¸ç§»ä½ã‚»ãƒ³ã‚¿ãƒ¼ã€ã®å»ºç‰©ãŒä»Šã‚‚残っている。神戸港からãƒ-ラジルなどにæ-...立つ移æ°'たちがæ-¥æœ¬ã§æœ€å¾Œã®æ-¥ã€...ã‚'過ã"ã-たå '所。小説「è'¼æ°"」の舞台となった、かつての「国立海å¤-ç§»æ°'収容所」である。

 ã"の小説は、見知らぬ港ç"ºã®é§...に降り立った東åŒ-の農æ°'一家が、坂の上に建つã"の建物にå...¥æ‰€ã™ã‚‹å '面から幕ã‚'é-‹ã'る。1930å¹'ï¼"月8æ-¥ã€‚ロンドンでは軍縮交渉が難航ã-、国際æƒ...勢はきなくささã‚'å¢-ã-ていた。æ-¥æœ¬ã¯ç¹Šç¶­ä¸æ³ã®ã©ã‚"底で、ç"Ÿæ'»è‹¦ã¨æ˜Žæ-¥ã®è¦‹ãˆãªã„æš-い影にåŒ...まれていた。一家は海のå'ã"うのæ-°å¤©åœ°ãƒ»ãƒ-ラジルã‚'目指ã-ている。総勢九百人にのぼる移æ°'集団の大半は、ã"の一家のように食うに食えない貧ã-い!è¾!!²æ°'たちだった。

 「海のå'ã"うには、å¤-国がある」。希望に胸ã‚'膨らませていã-神戸の地に立つと、その「å¤-国」が逆に「大きな不安になって胸ã‚'æ‰"つ」。ã-かã-「家も売ったç•'も売った。家財残らず人手に渡ã-て了った」。æ•...郷ã‚'捨てた農æ°'にはもう戻るå '所がない。移æ°'æ"¿ç­-がたとえ国家による「棄æ°'」だとã-ても、「未来」にすべてã‚'è¨-ã-てå...ˆã«é€²ã‚€ã-かないのだ。

 巨大な運å'½ã®å¥"流に身ã‚'任せた名もなき人たちの群像が、å†'頭から映ç"»ã®ã‚ˆã†ã«æ'»å†™ã•れる。あらがえない苦難の数ã€...。長い航海の末にたどりついたç'„束の大地。果てã-なく広がる大地で移æ°'たちがみたものは…。

 登å 'するだれもが頼りなく、å"€ã‚Œã§æ‚²ã-い。一人ひとりがみにくく、そã-て美ã-い。やがて人é-"的なå...±æ„ŸãŒé™ã‹ã«èƒ¸ã‚'æ‰"つ。読è€...は登å 'ä!ºº!!物とともに一筋の涙ã‚'流すã"とになるだろう。

 第ï¼'回芥川賞å-賞作は、70å¹'è¿'い時ã‚'経てもまったく輝きã‚'失っていない。移æ°'ã‚'送り出ã-た収容所の建物も、阪神・淡路大震災に耐え、今は「神戸移住資æ-™å®¤ã€ã¨ã-て静かに神戸港ã‚'見下ろã-ている。